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腕時計の初歩知識

 長年腕時計代わりに携帯電話を使用してきました。折りたたみ式携帯をいちいち開いて時間を確認していたわけですが、それが面倒になり、最近思いつきで安物の懐中時計を購入しズボンのポケットに入れて使っています。

 その後、販売量、情報量の圧倒的に多い腕時計にも気が向き、あれこれ調べていくうち、知れば知るほど面白い世界であることがわかってきましたので、ここで簡単にまとめておきます。

1.腕時計の機構(ムーブメント) - 機械式とクオーツ式 

腕時計はその動力源により、クオーツ式と機械式に分けられる。
つまり電池が必要か否かということ。

  • クオーツ式(電池式):  電池で動く
  • 機械式:  ぜんまいで動く。手巻きと自動巻きがある。

クオーツ式腕時計は1969年12月25日に日本のセイコーが発売。発売当初は数十万円と高価だったが量産化により低価格化。機械式腕時計は大打撃を受け、スイスの時計産業従事者数が13万人から3万人に減った。
その後スイス時計業界は復活を果たし、現在の高級腕時計はほとんど機械式。

腕時計内部の動作機構の部分をムーブメントと呼ぶ。ムーブメントを自社で作っているメーカーと他社から仕入れているメーカーがある。

ムーブメントを自作できるということは技術力が高いということで、高級腕時計メーカーである。逆に、自作しないからといってB級というわけではない。

2.腕時計ケースの素材

機構部分を覆っているのがケース。ケースの素材はさまざま。ステンレスが多い。

  • ステンレス (鉄 + クロム、ニッケル、モリブデン)
    有名ステンレス素材:SUS316S 
    ステンレス+ メッキ: IP(イオンプレーティング)、DLC(Diamond like Carbon)
  • 18K金 + 銅、銀、亜鉛、パラジウム
    純金は24K(karat) 18K金は75%が金、25%が他の金属
  • プラチナ + 銅、銀、ニッケル
  • チタン(合金)
  • アルミニウム(合金)
  • セラミック
  • カーボンファイバー(炭素繊維)

ニッケルは金属アレルギーの原因となることがある。

3.腕時計のバンド

バンド素材は金属と革がメイン。メタルブレスレット、革ストラップとも呼ぶ。金属、革のほか特殊繊維やラバー製バンドなどもある。最近は高級腕時計でもカウチュー(=天然ラバー)が使われるようになった。

例:
タグホイヤーのブレスレット「リンク」。ロレックスのジュビリーブレスレット。IWCのメッシュブレスレット。ブライトリングのパイロットブレスレット。

最高級の素材はイリエワニの革。そのほか、牛、馬、ダチョウなどがある。

カミーユ・フォルネは高級ストラップメーカーとして有名。

 個人的にはこの「ストラップ」が腕時計をつけることを辞めさせた最大の原因です。夏にバンドに密着した手首が汗まみれになるのが非常に不快なので腕時計をしなくなりました。考えてみれば、懐中時計は夏だけにして、汗をかかない秋や冬には腕時計をすればいいわけです。
 素材 ラバーや金属は汗でべとつくし、革は洗濯できません。衣類の素材でよくある化学繊維と綿を混合したものがあればはなかなか良いんじゃないですかね。新素材を利用した速乾、清潔、簡単に取り外しできて洗濯可能なストラップの腕時計があったら欲しいです。

ムーブメント

手巻きと自動巻き

自動巻き(Automatic)は18世紀にはブレゲが発明していたが普及せず。
ロレックスが1930年代に開発したperpetual:パーペチュアルと呼ばれる自動巻き機構で普及。現在の自動巻き腕時計はほとんど手巻き機能付。

ステップ運針とスイープ運針:

機械式腕時計はスイープ式。ステップ運針ならクオーツ式
クオーツには両方あるのでスイープだからといって機械式とは限らない。

スイープ式では流れるように秒針が動いて見えるが、実際には1秒間に複数回(5、6、8、10,20回)運針している。5ステップ程度の低速ならば普通の視力があればステップが数えられ、8ステップ(振動)以上になると普通の動体視力では見えないらしい。現在の主流は8振動。

正確に時を刻むには正確な振動源が必要で、機械式はテンプ(≒振り子)の振動を、クオーツ式は水晶の振動を取り出し、最終的に時刻表示を行っている。

ということは振り子の柱時計を極限まで小さくしたのが機械式腕時計とも言えるんですかね。ということは原理を理解するためには機械式振り子時計を入手するのも手かも。

ムーブメント供給と2010年問題

スイスの多くの時計メーカーは汎用ムーブメント=エボーシュを外部調達し、自社の腕時計に搭載してきた。

ムーブメントを自社製作し腕時計として製品化するブランドをマニュファクチュールと呼ぶ。

フラッグシップ機のみ自社製ムーブメントを使用し、廉価版では他社製ムーブメントを調達使用するブランドもある。

すべて自社製ムーブメントのみを使用するブランドはジャガー・ルクルト、ピアジェ、ロジェ・デュブイ。

多くのブランドにムーブメントを供給していたのがスウォッチグループのETA社。しかし2010年に向けて他グループのブランドへのムーブメント供給を制限していくと2005年頃に発表した。

この発表後、ETA以外のムーブメントの導入や、自社開発、あるいはムーブメントメーカーの買収などが活発となった。

ムーブメント自社製作の限界 ヒゲゼンマイ

 ムーブメントの自社製作といっても、機械式ムーブメントでもっとも大事なパーツの一つであるヒゲゼンマイはニヴァロックス社のニヴァロックスという素材がほとんどのムーブメントで使われている。ヒゲゼンマイは動力を蓄えるゼンマイとは異なる。

有名ムーブメント

  • ETAのクロノグラフムーブメント ETA7750(ヴァルジュー7750)
  • ETA2824
  • ゼニスのクロノグラフムーブメント エル・プリメロ
  • IWCのジョーンズキャリバー
  • ブライトリング01 クロノグラフ
  • セイコー 6S、 グランドセイコー 9S
  • JL (ジャガー・ルクルト)
  • ロレックス cal.1560 1570

なお、ムーブメントはキャリバーとも呼ばれ、オメガのcal.8500系ムーブメントなどという言い方をする。

品質基準

  • COSC(スイス公式クロノメーター検定協会)
  • ジュネーブシール

その他 ブザンソン天文台の検定、グラスヒュッテ天文台の検定、グランドセイコーのGS規格、パテックフィリップシールなどがある。

COSCのクロノメーター検定はすべての個体に対して行われる。異なる姿勢、異なる温度(8℃、23℃、38℃)条件下で15日間のテストを行う。
日差平均 マイナス4秒からプラス6秒 などさまざまな条件があり、合格すればCOSC認定クロノメーターと名乗ってよい。証明書も発行される。合格率は80-90%。

現在クロノメーターはISO3159で規定されている。

複雑時計

コンプリケーティッドウォッチ、コンプリケーションとも呼ばれ、時計に以下のような追加の機能を実現する機構を持つ。例えばトゥールビヨン機構を搭載した腕時計を持つブランドは数少なく、価格は数百万円以上。ミニッツリピーターは1000万円から!です。

  • クロノグラフ
    ストップウォッチ機構
  • カレンダー
    大の月、小の月を区別し表示できる機構を持つのがアニュアルカレンダー。
    4年に一度の閏年まで自動補正してしまう機構を持つのが永久カレンダー。
  • リピーター
    時刻を音で知らせる機構。ミニッツリピーター、グランドソヌリーなど。
  • トゥールビヨン (渦巻きという意味のフランス語)
    重力の影響を排除し精度を高める機構
  • ムーンフェイズ
    月の満ち欠けを表示する機構。月の満ち欠けの1サイクルは29.53059日。15夜が満月。
  • 天文時計
    星空や日食、月食、近似差その他さまざまな天文事象を表現する機構

その他の腕時計雑学

  • 世界最大の腕時計見本市は毎年4月頃、スイスのバーゼルで開かれる。期間は8日間。
  • スイスの三大腕時計ブランド:
    パテック・フィリップ   オーデマ・ピゲ   ヴァシュロン・コンスタンタン
  • デパートの時計売り場と言えば、池袋東武
  • 高級スポーツ腕時計としてヒットしたのがオーデマ・ピゲのロイヤルオーク
  • 恩賜の銀時計はウォルサム製だった。
  • オメガ スピードマスターのムーブメント変更 1968年。
  • ETA7750:クロノグラフのムーブメント。20-80万円クラスのクロノグラフで使われている。ETA7750は4万円程度。ヴォーシェのムーブメントは高価。
  • 3億円の腕時計: フランク・ミュラーのエテルニタスメガ4 
  • 女性向け高級時計はクオーツが多い。ムーブメントはピアジェ製が多い。
  • トゥールビヨン機構を発明したのはブレゲ。1755年。
  • 月面着陸した腕時計:手巻きのオメガ スピードマスタープロフェッショナル
  • 007ゴールデンアイで使われた腕時計: オメガ シーマスター
  • 高級腕時計=スイス製 となったのは第二次大戦後。それまではアメリカ、イギリス、ドイツなどと拮抗していた。
  • 複雑時計ムーブメントで有名なのがルノ・エ・パピ。オーデマ・ピゲほか高級時計ブランドにムーブメントを供給する。
  • シースルーバック:ケース裏蓋を透明にしてムーブメントが見えるようにしたもの
  • セイコー、シチズンは電池の要らないクオーツを開発。キネティック、エコドライブ、スプリングドライブ
  • ゼニスの「エル・プリメロ」は0.1秒が計測可能な唯一のクロノグラフムーブメント。タグホイヤーにも供給されキャリバー36と呼ばれる。
  • ミネルバ社のムーブメント「キャリバー48」は1946年から作られている。
  • IWCの「ダ・ヴィンチ」は2499年までの永久カレンダー付き。
  • スティーブ・ジョブズが使っていたセイコー シャリオ CZK050がオークションにかけられ42500ドルで落札された。定価は28000円。
  • アンバサダー:直訳は「大使」。そのブランドの広告塔となってイメージアップや浸透のための活動などを行う著名人。時計好きで知られる高倉健はアンバサダーにはならなかった。

腕時計の3大グループ

腕時計メーカーには3大グループがある。

  1. リシュモン
    IWC、ヴァシュロン・コンスタンタン、カルティエ、ジャガー・ルクルト、ダンヒル、ピアジェ、モンブラン、パネライ、ロジェ・デュブイ 
  2. スウォッチ
    オメガ、スウォッチ、ブレゲ、ブランパン、ロンジン、ジャケ・ドロー、ラドー、ハミルトン、ティソ、レオンアト、ロンジン、ETA、ハリー・ウィンストン
  3. LVMH
    タグ・ホイヤー、ショーメ、ゼニス、クリスチャン・ディオール、ウブロ、ブルガリ、ルイヴィトン 

LVMHグループ全体の売り上げ2兆6500億円で、そのうち時計は1300億円(2008年頃)。時計売り上げトップはスウォッチグループで8000-9000億円程度(2012頃)。
パテックフィリップ、ロレックス、ブライトリングなど独立系もある。パテックフィリップが1000億円、ロレックスが5000-6000億円程度。2013年にはスウォッチグループがハリーウィンストンを7.5億ドルで買収するなど常に業界再編が行われている。

腕時計の有名ブランド

 区分けは私の独断です。この他にもまだまだたくさん有名ブランドあり。関連著名人は、今昔いろいろ、アンバサダーも自前の時計もごちゃ混ぜ、持ってる時計が多すぎてかえって掲載できない人多数。(有名人と腕時計については下の参考サイトが超詳しい)

素人でも知ってるだろう有名腕時計ブランド 

  1. オメガ OMEGA : 大江麻里子、安倍晋三、浅田真央、潮田玲子、山崎直子
  2. オリエント ORIENT  : 日本製として昔聞いたことある気がする : 宮崎あおい
  3. カシオ CASIO  : 石川遼、イモトアヤコ、佐藤栞里、A.ラミレス
  4. シチズン CITIZEN  : 有村架純、小泉進次郎、五郎丸歩
  5. セイコー SEIKO  : 大谷翔平、池上彰、佐々木希、S.ジョブズ、野村忠宏、又吉直樹、室伏広治、山中伸弥、古田敦也  
  6. タグ・ホイヤー TAG Heuer : 友人が持っていた : T.ウッズ、A.セナ、S.マックィーン、錦織圭
  7. フランク・ミュラー FLANCK MULLER  : フランク三浦事件で知ったのかも : 阿部寛、有働由美子、松井秀喜、日馬富士
  8. ラドー RADO : 昔新聞広告で見たような・・。
  9. ロレックス ROLEX  : C.イーストウッド、H.フォード、R.レッドフォード、M.ブランド、北島三郎、梅沢富美男、辛坊治郎、竹野内豊、原辰徳、松本人志、鈴木奈穂子、中村俊輔、ウド鈴木
  10. ロンジン LONGINES  : 実物見たことあるような気がする : C.リンドバーグ゙、E.プレスリー、Y.モンタン、中畑清、ミランダ・カー

腕時計以外でも有名なブランド?

一応知ってますが、時計ブランドとしてではなくファッションとか宝石で聞いたことがあるんでしょう。モンブランは万年筆ですね。

  1. アルフレッド・ダンヒル ALFRED DUNHILL
  2. エルメス HERMES
  3. カルティエ Cartier : A.ドロン、Y.モンタン、JFK、澤穂希、竹内まりや、渡辺謙、キャサリン妃、平井理央
  4. グッチ GUCCI
  5. シャネル CHANEL : 原辰徳、橋下徹、中居正広、古閑美保
  6. ディオール DIOR : 高橋尚子、落合博満
  7. ピアジェ PIAGET : 荒川静香、長嶋茂雄
  8. ブルガリ BVLGARI : みのもんだ(TVで見た2016.5)、B.ゲイツ、E.テイラー、O.ヘップバーン、S.ストーン
  9. モンブラン MONTBLANC
  10. ルイ・ヴィトン LOUIS VUITTON

マニアしか知らないだろうブランド

 今までまったく腕時計に興味がなかったので、スイスの三大高級腕時計ブランドすら知りませんでした。

  1. IWC  : 三浦知良
  2. ヴァシュロン・コンスタンタン Vacheron Constantin : イチロー、林修
  3. ヴァルカン VULCAIN
  4. ヴァンクリーフ&アーペル Van Cleef & Arpels
  5. ウォルサム WALTHAM
  6. ウブロ HUBLOT : 田中将大、武井壮、高橋由伸、山田哲人、岩隈久志
  7. A ランゲ&ゾーネ  : 松井秀喜
  8. エテルナ ETERNA
  9. オリス ORIS  : K.リーブス、H.フォード、N.ケイジ
  10. オーデマ・ピゲ AUDEMARS PIGUET : A.シュワルツェネッガー、松井秀喜
  11. コンコルド CONCORD
  12. ジャガー・ルクルト JAEGER-LECOULTRE : エリザベス女王、C.ゲーブル、G.クーパー、古田敦也
  13. ジャケ・ドロー JAQUET DROZ
  14. ショパール CHOPARD
  15. ショーメ CHAUMET  : 三田佳子
  16. ゼニス ZENITH :
  17. ノモス NOMOS
  18. ハミルトン HAMILTON  : J.ディーン
  19. パネライ PANERAI  : S.スタローン、J.P.ベルモンド、B.ピット、遠藤保仁、石坂浩二
  20. パテック・フィリップ PATEK PHILIPPE : L.N.トルストイ、A.アインシュタイン、王貞治、麻生太郎、水道橋博士、堺正章
  21. ハリー・ウィンストン HARRY WINSTON  : 野村克也、稲葉篤紀
  22. フィリップ・デュフォー Philippe Dufour
  23. ブライトリング BREITLING : T.クルーズ
  24. ブランパン BLANCPAIN  : 王貞治、イチロー、V.プーチン
  25. ブレゲ BREGUET : ナポレオン、M.アントワネット、ローマ法王、W.チャーチル、麻生太郎、高田純次、松井秀喜
  26. ロジェ・デュブイ ROGER DUBUIS : ダルビッシュ有

参考サイト、書物など

 私が特に興味を持った話題だけを簡単にまとめてみました。その他にも文字盤について、ブランドの歴史などおもしろい話は尽きないですが、きりがないのでまたの機会に。下のサイトや本に詳しく出てます。

 さて、時計関連の本や雑誌を10冊ほど買ってきましたが、まだ読んでません。雑誌はカラー写真や図が豊富なのでさらに理解を深めてくれるでしょう。機械式腕時計のムーブメントの各種パーツ、機構の説明を文章だけで読んでもチンプンカンプンですから。

 シースルーバックモデルを手に入れ、それを眺めながら酒でも飲みたいものです。いったいいくらするんでしょう。

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